平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(878)片山津温泉でバイキングのはずが。(1)

気持ちをリフレッシュさせる1番良い方法は、今生活している日常を離れて、非日常を味わうことである。
なかんずく、旅行というのは、最も気軽に非日常を味わうことのできる方法だろう。
普段の見慣れた風景から離れて、温泉に浸かり、まだ日の明るい時分から露天の湯に浸かって火照った身体を自然の風でクールダウン。
足の裏がペタペタと貼りつくようなビニールのスリッパを引っかけて、おやじのジョークのようなネーミングのお土産物を売店で探したり、マッサージ機で身体をほぐしたり、そんなひと時が、どうにも楽しい。
そんなことを考えていたら、ミニボンが6月に連休があるという。
普段は、わざわざ休みを合わせることをしないのだけれど、気分転換に温泉でもどうかと思って、休みを合わせた。
それが5月の中旬だったか。
それで休みが近づいてきたので、何処へ行こうかということになった。
まあ、何処へ行こうかと言っても、勿論、安いということが条件である。
となると、いつもの湯快リゾートや、大江戸温泉物語、ゆこゆこ、などということになる。
ここで凡の場合なんだけれど、移動は電車かバスという条件が付く。
免許は持っているが、ペーパーだからだ。
その中でも、格安の往復の直行のセットになったものがあるので、探して見ると、凡の認識が甘かったのか、ほとんどの温泉のホテルが満室か、或いは、部屋は開いていてもバスが満席だったりと、行ける場所がない。
もう、どこでもいいやと決めたのが、片山津温泉だ。
片山津温泉は、以前、湯快リゾートで行ったことがあるのだけれど、今回は、大江戸温泉物語なので、同じ温泉地でも、非日常を十分に感じることは出来るだろう。
それが3日前だった。
ネット価格で、1泊2食付きで、1人7000円ぽっきり。
直行バスは、往復で3240円だ。
予定していたより安い。
そう決まると、急に楽しくなってくる。
往路のバスでは、車窓の風景を楽しもう。
何と言ってもサービスエリアでのトイレ休憩がうれしい。
急いでトイレを済ませて売店へ走るよ。
サービスエリアでしか買えないような、練り物のてんぷらを串に刺したようなものや、地元の牧場の牛乳とかね、そんなものを買いこんでバスで食べる。
ミニボンも、前日には、バスの中で食べるリンゴやオレンジを、すぐにでも食べられるようにカットしてジッパーに入れて冷やしたものを保冷バッグに用意していた。
ホテルに着いたなら、すぐに温泉に入らなきゃいけない。
早い方が、利用者が少ないからね。
露天風呂に浸かりながら、前回行った時に聞いた自衛隊の小松基地で発着する戦闘機の轟音を聞きながら、空を見上げるね。
機影は見えないけれど、そこに戦闘機があるということ自体が、より非日常を演出してくれれる。
自衛隊の方には、申し訳ない気持ちが湧いて来るけれども、今日だけは、その轟音を楽しませてほしいと、空に向かって、ちょこっと敬礼。
さて、大江戸温泉物語の夕食は、バイキングだ。
凡が行く時期は、九州フェアというのをやっているという。
ネットを見ると、レモンステーキ、トンポーロー、チキン南蛮、博多ラーメンなどの美味しそうな写真が掲載されていた。
寿司なんかもあるみたいだから、これは最後に食べよう。
レモンステーキは、レモン風味で美味しいだろうな。
熱々のステーキを頬張ると、レモンの酸味で頬っぺたの内側がキュッとなるね。
これは、きっと食べすぎるから、胃腸薬は必ず持ってかないとね。

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(ネットのバイキングのイメージ写真)

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(寿司も美味しそう)

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(レモン風味?これも九州名物だそうだ。)
そんなことを、いろいろ想像しながら、旅行の日を楽しみにしていた。
んでもって、6月18日(月曜日)。
往路のバスは、灘波のオーキャットに10時を出る。
なので、少し早めに8時過ぎに出たなら、充分間に合うだろう。
時間があったら、灘波のパン屋でモーニングでも食べたい。
さて、用意も出来て、いざ出発しようかと思った時だ。
8時ちょっと前。
急に、ガタガタと揺れだした。
地震だ。
しかも、結構大きい。
わあ、と思ったが、どうしようもないので、そのまま治まるのを待つ。
とはいうものの、この時点では、すぐに治まったので、これで終わりだろうと思っていた。
以前にもよく似た地震はあったし、何より阪神淡路大震災の時に比べたら、かなり小さいと思ったからだ。
それでも、電車が遅れるかもしれないなと思って、すぐに家を出た。
途中、空の個人タクシーと出くわしたので、一瞬乗ろうかと思ったが、まだ電車が動いていると思ったので、そのまま駅まで行った。
駅に着くと、構内に入れず、外で乗客が、静かに待っていた。
どのくらい遅れるのだろうかと思っていると、予定が立っていないという。
それでも、30分ぐらいしたら、動き始めるだろうと思った。
何しろ、阪神淡路大震災の時だって、時間は覚えてないが、すぐに京阪電車は動いた。
ちょうど休みの日だったのだけれど、職場がどうなっているかと京阪電車に乗って、見に行った記憶がある。
ただ、直行バスの時間が気になる。
ホテルに電話をしたら、予定通りに出発するという。
んでもって、キャンセルするかと聞かれた。
ミニボンは、もう諦めモードだ。
でも、凡は、往生際が悪い。
その時点で、まだ違う方法で行けやしないかとアイフォンで調べていた。
タクシー乗り場を見ると、長蛇の列だ。
あの時に、個人タクシーを捕まえていればと後悔しても遅い。
往路のバスは、諦めて、JRで行くか。
特急を使わなければ、4000円ぐらいで行くことが出来る。
そんなことをしながら、待っていると、もうバスの時間には間に合わないことが解った。
どうしようかと思っていると、大阪モノレールの駅員が、モノレールも、京阪電車も阪急電車も、今日中には復旧しないとハンドマイクで説明しだした。
少し遅れて、京阪電車も午前中の復旧はないと発表した。
それでも、凡は往生際が悪い。
片山温泉には行けなくても、他の近い場所の温泉へは行けないだろうかと探した。
たとえば、大津や長浜あたりの露天風呂付のバイキングを食べさせるホテルとか。
たとえば、赤穂あたりの風景の良いホテルとか。
たとえば、この地震でキャンセルが出たかもしれない同じ大江戸温泉物語の箕面のホテルとか。
とはいうものの、調べると、京阪電車もモノレールも、地下鉄もJRも動いていないことが解ったので、仕方なく家に帰ることにした。
寂しい。
なんだか、寂しい。
後ろを歩くミニボンによると、家に帰る途中の凡の後姿は、しょんぼりとしていたそうだ。
だって、楽しみにしていたんだものね。
家に帰ってテレビを点ける。
どこのテレビ局も地震の報道ばかりだ。
そして、交通情報も、兎に角、大阪周辺は、すべての交通機関がストップしている。
お昼頃までテレビとにらめっこしていたが、もうどこへも行けないと解ったので、市役所に用事に出かけたりした。
内田百閒さんの、やむを得なければ、すなわち、仕方がないということばを呟く。
とはいうものの、市役所に行く前に京阪電車の駅を通ったら、3時ぐらいだったか、電車が動き始めたようだった。
家に帰ってから、夢にみていたバイキングを食べに行こうとミニボンに行った。
温泉とセットではないけれどね。
夕食だけは、非日常の雰囲気を味わいたい。
ネットで調べて、梅田の元飛天の横にあるホテル阪急インターナショナルのナイト&デイというレストランは、どうだろうと思う。
いろいろホテルでバイキングをやっているけれども、ここは以前に行って良かった印象が残っている。
電話で予約を入れる。
通常4500円で、ネットのクーポンを使うと、税込み4100円。
普段に行くバイキングと比べると、高い値段設定だけれど、ここは片山津温泉の代替であるからして、少しばかり豪華な方が良い。
さあ、温泉旅行ではないけれども、大阪で豪華なバイキングの夕食を頂こう。
どんな美味しい料理が待っているのかな。

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コメント

  1. ゆけむり より:

    大阪の土地勘が無いのでどの辺りの被害が大きかったのか分かりませんが、凡蔵さんのお宅の方は大丈夫だったのでしょうか?
    家具など倒れたりテレビが壊れたりはしませんでしたか?
    なるほど片山津温泉に行く予定だったんですね
    これはアンラッキーでしたね
    電車が全てストップしたら手の打ちようが無いですもんね
    温泉がダメになったらメチャクチャしょんぼりしますよね
    自分だったらしばらく立ち直れません(T_T)
    代わりにホテルの豪華バイキングに行かれたんですね
    温泉と比べると微妙ですが、それでも美味しい物を食べられれば少しは気が紛れそうですね・・・

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとうございます。私のところは、まったくもって大丈夫でした。部屋の中も、掃除機が倒れたぐらい。
    でも、震源地に近いところは、今日もまだ、ガスなどが止まったままで大変そうです。そんな大変な人がいるなかで、旅行に行けなかったとボヤくのは、どうかとも思いますが、それでも、残念は残念なんですよね。

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