平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(848)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(300)

1月11日(木曜日)。
中島みゆきさんの夜会工場vol.2のフェスティバルホールの公演のブログであります。
今回は、ネタバレ的な内容は少しですが、まだ見てられない方は、ご注意くださいませね。
さて、今回の夜会工場vol.2は、凡にとって特別な公演だ。
何故なら、最前列。
これは、興行元の夢番地さんで当選したチケットだ。
ありがとう、夢番地さん。
いろんな感想を書こうかと思っていたが、それは無理だ。
もう、見終わったら、みゆきさんの魅力にやられてしまって、ヘロヘロ状態だもの。
でも、気を取りなおして、凡のログの為にも書いておかなくちゃ。

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(こんな近いよ)
まずは、開場したら席を確認に行く。
夜会工場は、幕は開演前から上がっているので、舞台のセットがそのまま見えている。
凡の席は、最前列の、左側だ。
この席の素晴らしさは、もう開演前から、凡のこころを揺さぶり続ける。
何故なら、みゆきさんが登場して、まず、最初に立つのが、ステージの向かって左側だからだ。
今までの夜会工場vol.2を思い出してみても、凡の席から、ほんの数メートルである。
だいたい、3.5メートルぐらいだろうか。
以前に、夜会「橋の下のアルカディア」で最前列を引き当てたこともあるけれども、その時は、オーケストラピットが目の前にあって、最前列といえども、やや距離があった。
しかも、オーケストラピットで遮られている感じ。
それに比べて、今回の席は、目の前にステージがある。
凡と、ステージの間には、何もないのだ。
詰まりは、凡とみゆきさんの間に、何もないということだ。
開演する前から、息が止まりそうなのである。
さて、15分ぐらい前から、席に座ってスタンバイ。
どこかの間から、みゆきさんが会場を覗いてやしないかと見回す。
どこか落ち着かないような時間だ。
そして、ステージが始まって、工場のスタッフに混じって、みゆきさんが舞台に現れる。
静かに、暗い中でスタッフと一緒にステージに入ってくるので、たぶん、後ろの席の人は、みゆきさんが、どこから来たのだろうと思うだろうけれど、最前列の凡には、その様子が見えている。
なので、会場のみんなより先に興奮状態。
そして、いよいよ凡の目の前に来て、スポットが当たった。
いつものラジオのテンションのみゆきさんが目の前にいる。
そう、本当に、すぐ目の前にいるのである。
そのみゆきさんは、素敵で、素敵で、素敵で、素敵で、素敵で、、、、。
もう、どうしようもないぐらい素敵なんだな。
いつもステージで見ているみゆきさんは、スポットライトが当たって、顔の表情の細かい部分が飛んでしまって、やや映像っぽく見えていた。
勿論、実物のみゆきさんだけれど、どこか、ステージ用のみゆきさんであるような感じに見えていた。
でも、今、目の前にいるみゆきさんは違う。
最初のトークの部分のスポットライトも、コンサートの歌の時よりも控えめなのか、或いは、近いという理由なのか、みゆきさんの素の部分が、見えているのだ。
顔も、メイクとスポットライトで光り輝いているみゆきさんじゃなくて、普通に、人間みゆきさんとして見えている。
凡は、みゆきさんの手は、白く柔らかいものだと思っていた。
コンサートで双眼鏡を使って覗いている時も、そんな風に見えいたし、何より、赤坂のACTシアターの出待ちで見る、ハイヤーから振られるみゆきさんの手は、白く柔らかい。
だから、みゆきさんの手は、白くて柔らかいイメージだった。
然るに、今目の前にいるみゆきさんの手は違った。
勿論、白い肌で柔らかいというのは、今までのイメージ通りなのだけれど、それに加えて、ちゃんと赤味を帯びたところもあり、そっと触れて見たくなる青い静脈もあり、指には関節もあり、あれはペンだこだろうか、そんな人間みゆきさんの手なのである。
そんな生身のみゆきさんを感じるのである。
ああ、あの手を握り締めてみたい。
ああ、あのほっぺに頬ずりをしてみたい。
「柔肌の 熱き血潮に 触れもみで 寂しすぎるぞ 知られない凡」
(与謝野凡子)
ああ、目の前のみゆきさんに触れて、みゆきさんの体温を感じてみたい。
みゆきさんの熱い血潮に触れてみたい。
でも、ステージの上は遠すぎる。
それに、みゆきさんは、凡の事なんか知らないし、見えていないのだ。
手を伸ばせば触れることのできる距離なんだ。
でも、その近すぎる距離の間には、深い川がある。
♪♪ 凡とみゆきさんの間には、深くて暗い河がある~。
   誰も渡れぬ河なれど、エンヤコラ今夜も、舟を出す~。
   ローエンドロー、ローエンドロー、
   振り返るなロー、ロー ♪♪
(野坂凡如。&長谷川愚よし。)
凡とみゆきさんの間には、どんな河がながれているのだろうか。
どうしたって渡れない河なんだろうな。
暗い河の向こうから、みゆきさんが「おいで、おいで。」と白い手を振る。
「あ、みゆきさーん。待っててね~。」
河から、清らかな香りが漂ってくる。
ん?線香の香?
シマッタ、これは三途の川だ。
でも、河の向こうからみゆきさんが、おいでおいでしている。
「ねえ、早くこっちへおいでよ。凡ちゃん。」
しかし、目の前の河は三途の川。
でも、みゆきさんに会えるなら、三途の川なんて、ヘッチャラだい!
エンヤコラ、エンヤコラとね。
「みゆきさーん。会いたかったよ~。」とみゆきさんに抱きつく凡。
すると、みゆきさんが優しく言った。
「もう、凡ちゃん、危なかったよ。あっちの世界に行っちゃうとこだったよ。」
「えーっ。凡が、死んじゃってたの?そんでもって、みゆきさんが、呼び戻してくれたの~。」
と、どこまでも、みゆきさんは、愛にあふれるマリア様なのでありました。
なんて、妄想に耽っている場合ではない。
そもそも、黒の舟歌なんて、暗すぎるぞ。
そんな、みゆきさんのトークが終わると、「泣きたい夜に」を歌うために、ステージにしつらえた映画館の椅子に移動する。
その時に、凡の目の前をみゆきさんが通る。
「コツ、コツ、コツ、、、、。」
みゆきさんのハイヒールの音だ。
どうにも、その音だけで、ウットリなのである。
そして、「LALALA」である。
これはもう、可愛いくて、可愛くて、可愛くて、可愛くて、、、、。
歌い終わって、トークのために、凡の目の前に来る。
目の前には、ピンクのパジャマ姿のみゆきさんがいる。
話している途中に手を下におろしたら、その手が足に当たって「ぱたん。」と音がした。
こんな音を聞くことが出来るなんて、今まで想像すらできなかった。
みゆきさんの手が、「ぱたん。」と自然に下した時に発する音だよ。
その「ぱたん。」が愛おしくて、愛おしくて、愛おしくて、何度も何度も、頭の中で思い出そうとしていた。
そして、話の途中で、みゆきさんが、パジャマのままで、凡の前に座った。
こんな光景を凡は待ち望んでいたのだ。
ただ、みゆきさんは、舞台の上で、凡は、会場の深く深く深いどん底のシートに座っている。
でも、いつか、いつか、この上下の差のない、同じ空間で、パジャマ姿のみゆきさんが、凡の目の前に座ってくれることを、願うのであります。
そんでもって、その座り方が可愛い。
真っすぐ両足を前に伸ばして、両手は下におろして座っている。
まるで、大島弓子さんの漫画、「綿の国星」のチビ猫じゃないか。
あのチビ猫は、可愛かったね。
あのチビ猫の可愛らしさが、今、目の前にいるみゆきさんと同じなんだ。
可愛くって、可愛くって。
ひょっとしたら、みゆきさんは、あの時、ステージでチビ猫を意識していたんじゃないだろうか。
なんてさえ、思ってしまった。

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「LALALA」の最初の部分で、というか、歌う前の部分だけれど、みゆきさんは、向こうを向いて寝ていて、その足を、組み替えたり、ピクリピクリと微妙に動かしたりしている。
あの足の仕草が、これまた可愛いのなんのって、まあとにかく可愛いのでありまして、どうして、あんな可愛い仕草が出来るものなのかと思うね。
意図してやっているにしても、それを他者が見て、可愛いと思う動きになってなくちゃ意味無い訳で、それをみゆきさんは、見事にやってのけている。
会場の全ての人がみて、可愛いなと思う仕草になっていたと思う。
あんな仕草は、鏡で見て練習しても中々出来やしないよ。
或いは、これもまた綿の国星のチビ猫を意識して仕草をしているのかとも思う。
でも、猫でもなさそうでもあって、或いは、何かの赤ん坊の動きに似ているような気もする。
赤ん坊って、どんな動物でも可愛いものね。
見ていて飽きない。
或いは、ハムスターなのかもしれないと思う。
凡は、昔、ミニボンとハムスターを飼っていたことがあるけれども、コロンと寝転がって、足をピクリピクリと動かすこともあって、みゆきさんの、可愛い仕草に似ているような気もするのだ。
ハムスターの動きも、誰が見ても可愛いものね。
みゆきさんは、果たして、ハムスターの動きを真似て、ステージで「LALALA」を演じたのであろうか。
それにしても、最前列のスゴサは、想像以上だった。
ステージの全ての歌で、みゆきさんの近い距離で見る魅力をいくつも発見したけれども、もう、そんなのは関係ない。
兎に角、近くでみるみゆきさんは、素敵だというほか、書きようがない。
ただ、今回の最前列でみゆきさんを見たことが、どれだけ不幸な事だったかということを今は感じ始めている。
何しろ、あの距離を知ってしまったら、もう後には戻れないのだから。
今の凡には、最前列以外は、無価値に見えてしまう。
みゆきさんに会えるだけで、どれだけ幸せなのかっていうことを忘れてしまっている凡がいるのである。
なんと、不幸で、悲しいことなのだろうか。
ステージも終わって、会場のエスカレーターを降りていたら、後ろの女性2人組が、こんなことを言った。
「ステージの演出がスゴ過ぎて、歌詞が入ってこなかったから、途中から目をつぶって聴いていた。」(言葉の細かいとこは違うかもですが、こんな内容の事を言ってた。)
それを聞いて、こころの中で、「あんた、アホか。」とツッコミをいれたが、いや待てよと思った。
人にはそれぞれの、みゆきさんの楽しみがあるんだ。
この女性は、みゆきさんの歌詞に惚れ込んでいる訳で、みゆきさんが好きなことに変わりない。
そんな多様な楽しみをみんなに与えているのが、みゆきさんなんだなと、改めてみゆきさんの素晴らしさを発見した気がした。
そんでもって、そんな会話を聞いて、みゆきさんと同世代に生まれて来たことを、凡はいつも、感謝しているけれども、同時に、今の瞬間、みゆきさんの異性として生まれ出て来たことを、神様に感謝せずにはいられなかったのであります。
みゆきさんに、異性として恋することができる喜びを噛みしめて、出待ちに向かった。
今日の出待ちも、みゆきさんの乗ったバンの黒い窓は開かなかったが、窓のカーテンは、みゆきさんの乗っているであろう部分が、開かれていたように、凡には見えたのである。
さて、もう、最前列の幸せも、終わってしまった。
止まらない感動と、こみあげる寂しさ。
もう、凡には、ステージの遠いところにいるみゆきさんでは、満足のいかない凡になっているのを感じていた。
そして、今日のような近い距離のみゆきさんを、今後、また見ることの出来る日は、そうは簡単にはやってこないだろう絶望も同時に感じていた。
寂しい。
寂しい。
どうしようもなく、切ない。
フェスティバルホールの帰り道、冷たい風が凡の頬を吹き抜けてゆく。
凡は、コートのチャックを開いて、冷たい風を身体に受け止める。
凡の、このやるせない気持ちは、心地よい環境では辛すぎる。
せめて、冷たい風を身体に感じて、凍え切るまで、身体に苦痛を与えなきゃ、この切ない気持ちを抑えることなんて出来ない。
震えながら、目を閉じる。
凡の身体を凍らせた風が、淀屋橋のビルの間を通り抜けて、暗い夜空に舞い上がってゆく。
空高く吹き抜けて行って、或いは東京のみゆきさんの住む町まで吹き流れていったのかもしれない。
或いは、みゆきさんの住む町とは反対の遠く暗い山々をクネクネと吹き抜けているのか、或いは、暗い太平洋の遠くまで吹き流れて行って、ただ星を見つめて暗闇の海で留まっているのか。
そんな光景を想像したら怖くなった。
凡は、夜の山も、夜の海も怖くて仕方がないものね。
その前にさ、みゆきさんは、今、大阪にいるのに、東京まで凡に触れた風が吹き抜けていったって、それは無意味極まりないじゃないか。
どんなに切なくて、やりきれなくても、凡は、いつだって、凡で、愚なのでありました。

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(凡のみゆきさんが好きっていう好きは、世界で1番好きって意味だよ。ってね。)

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