平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(569)傷心旅行だよ。みゆきさーん(1)

1月9日。
みゆきさんにフラれた凡は、青春18きっぷを握りしめて家を出た。
京阪電車に乗り、京橋経由で大阪駅に出る。
まずは、大阪駅6時56分発の快速に乗って京都まで移動。
ここで乗り換えの時間にホームの駅そばで、とり天あんかけそば460円を食べる。
京都のそばは、あんかけが有名である。
たぬきそばも、京都では甘い揚げさんの乗ったあんかけで、凡は冬場に京都へ行ったときには、どうしても注文してしまう。

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ミニボンに言わせると、あんかけなんて食べ物は、男の食べるもんじゃないというのであるけれど、おろし生姜風味がきいていて、冬は特にあったまるのでありあす。
あんかけが男の食べるもんじゃないという理論というか感覚で判断するならば、しっぽくだって、花巻だって男っぽくない。
タヌキやきつねも、男っぽいとは言えないだろう。
玉子とじに至っては年寄りの食べ物だ。
そんな風に見ていったら、男っぽいといえるのは、ざる蕎麦か、かけぐらいしか残らない。
かけといえば少しはカッコイイが、大阪では昔は、「すそば」とか「すうどん」と言っていた。
この「す」とは「素」の意味だ。
ここで、すそばと言っても男らしさは感じられない。
となると残るは、ざる蕎麦だけとなる。
男っぽく食べるのも、何とも面倒くさいものであります。
とはいうものの、凡は男っぽいにこだわらないのでありまして、あんかけをホームの駅そばで急いで食べたのであります。
食べ終わると、7時45分発の米原行きの新快速に乗り込んだ。
そして米原で乗り換え、8時46分発の大垣行きに乗る。
土曜日なんだけれど、米原では通勤ラッシュ並に混雑していた。
9時19分大垣着。
9時24分発の名古屋行きに乗り換え。
10時00分名古屋着。
ここですぐに豊橋行きに乗るのもいいのだけれど、今日は先を急いでも、今のところの目的地である富士駅で観光するほどの時間もない。
なので、ちょっとばかし名古屋で途中下車してみよう。
まだモーニングには間に合うだろう。
予定は1時間。
名古屋駅前のメイチカにある「シャポーブラン」さんでモーニングをいただく。
サンドイッチやパンが食べ放題のモーニングバイキング490円に名古屋名物小倉サンドがプラスされたセットを注文。650円。

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(パン類やゆでたまごは取り放題だ)

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(凡は小倉サンドもプラスした)
ここで名古屋名物のモーニングと、さらに小倉サンドも食べることが出来た。
そうだ、今回はその土地の名物を食べるなんて旅もいいなあ。
失恋の傷を忘れる方法は何か。
その第1は、新しい恋である。
たぶんこれがいちばん効くのだろうとは思うのだけれど、凡は失恋はしたものの、みゆきさんが今でも大好きなのであります。
これはたとえ片想いでも凡の気持ちを貫くべきである。
なので、敢えて凡は新しい恋をしようとは思わない。
しかし、凡が恋をしないと宣言したとして、或いは知らない女の子から凡へ声を掛けてくるということも可能性としてはゼロじゃないだろう。
凡は今回一人旅である。
夕食は居酒屋なんかに行くことになるだろう。
1人だったら、これはカウンターに座るのが普通だ。
もしここで、これまた一人旅の女の子が同じ居酒屋に来たとしたら、どうなる。
ねえ、どうなるの。
そしたらカウンターに座るだろう。
何しろ1人なんだから。
たぶん混んでいたら凡の隣りか、空いていたら1つ席をあけた隣だ。
彼女が座ったら凡に気づくね。
そしたらお互いに会釈ぐらいするだろう。
しかしだ。
女の子の一人旅というのは、その一人旅であることの理由の80パーセントは失恋であろうと思う。
後の残りはビジネスというところか。
あなたは失恋した女の子の気持ちを考えたことがあるだろうか。
凡は、敢えてここで失恋した女の子になってみる。
詰まりは、失恋した女の子に精神的にシンクロしてみるのだ。
「どうして、どうしてあたしだけ幸せになれないの。」
「寂しい、寂しい、誰かあたしを抱きしめて。」
「もう、あたしなんか死んだ方がいいんだ。」
「でも、死にたくない。助けて、誰かあたしを助けて。」
「誰でもいいから、あたしを愛して、、、、。」
そんな女の子の声が凡の脳に鮮明なイメージとしてシンクロされた。
凡は小倉サンドを頬張りながら嗚咽した。
失恋した女の子が可哀想である。
周りの人にオカシナ人だと思われないように風邪を引いて咳をしたようにごまかしたが大丈夫だっただろうか。
これで解るように一人旅の女の子のというものは、寂しいのである。
寂しい。
抱きしめて欲しい。
そして、愛されたい。
そんな気持ちの時になっている時にカウンターの横の席を見ると凡がいる。
しかも男前である。
これでこころを動かされない女性がいるだろうか。
もうすでに彼女は凡に落ちているのである。
或いは、積極的な彼女の誘いがある場合もあるだろう。
もちろん、凡はもしもの場合でも、これは断わる。
凡はみゆきさん愛を貫くのである。
しかも、本妻ミニボンもいるのである。
しかしだ、こんな時に限って女の子が可愛かったりするから世の中は厄介なのだ。
サラサラロングヘアーの白のニットのワンピース。
少し潤んだ瞳。
さらに、そのワンピースがミニだったとしたら残酷だ。
凡も少しばかりこころ動くかもしれないが、そこは理性でもって抑えるしかないのである。
女の子の一人旅もツライが。
男の凡の一人旅もツライものであります。
そんでもって、失恋を忘れるその2である。
これは酒だ。
飲んで、飲んで、飲んで、そして吐いて、吐いて、吐いて。
これは不思議なのであるが、便器に頬ずりをして吐いている最中は、今直面しているどんなツライことも、どうでもいいやって気になるんだね。
お酒ってすごいね。
とはいうものの、たぶん今日の夜もお酒は飲むだろうけれど、最近は年のせいかヒドイ二日酔いになるまで飲めなくなった。
ということは、残るは最後の手段しかない。
その3である。
やけ食い。
失恋で食欲もないというところなのですが、地方の名物なら食べてみたい。
名物なら美味しいに違いない。
よし、この路線で行こうじゃないか。
凡はみゆきさんへの失恋を癒す為に、ここにやけ食いをするのであります。
ますは、京都のあんかけそば、そして名古屋の小倉サンドのモーニング。
さてさて、これからどんな名物を食べることができるのだろうか。
11時17分名古屋発、豊橋に向かう。
豊橋には、豊橋カレーうどんという名物もあるそうだ。
駅前にあれば食べてみたいな。
豊橋に向かう電車の中で、アイフォンから今日のホテルを予約した。
「スーパーホテル富士駅前禁煙館」
スーパーホテルというのは最近よく見かけるのですが、まだ泊まったことがない。
なら1度泊まってみるのもいい。
それに駅前にある。
しかも、この富士駅にはスーパーホテルが2軒あるのですが、こっちはわざわざホテル名に「禁煙」と銘打っている。
凡は煙草を吸わない。
別にタバコの匂いが特に嫌いというのではないのですが、1度地方のホテルでどうしようもなく臭い部屋に泊まったことがあるのです。
それ以来、選択できる場合は禁煙室を指定している。
それに、禁煙と銘打っているということは、これは統計上正確にはその数字を知らないけれど、或いは若い女性が多いかもしれないのである。
煙草の匂いが苦手な女の子が泊まるホテル。
或いは、失恋を癒すための一人旅している女の子。
そういう訳では決してない。
そんな不埒な気持ちでホテルを選んだのではないのであります。
何しろ凡は今回の一人旅は失恋を癒すためのものではありますが、新しい恋はしない予定なのでありますから。
そんな訳で、ホテルも決まったので、本日の目的駅は富士駅と決定したのであります。

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