赤坂から渋谷へ移動して次のお店を探す。
とはいうものの、凡は今宵のお店の選択が間違いであったことを悟った。
ハシゴをしたいときに1軒目に食べ放題を選択してはいけない。
凡自身は赤坂のスモーガスボードをかなりセーブして食べたつもりだったのであります。
なのでありますが、今渋谷を歩きながら、凡の腹部膨満感は半端ないものなのでありまして、料理もビールも入る余裕が無いのであります。
それに1カ月弱の間ですが禁酒をしていたせいか、かなり回ってもきたのでありまして、お洒落なバーでお酒だけという気にもなれない。
それでも、2軒目に行きたくて、以前に行ったことのある居酒屋に行って、冷奴と生ビールを注文。
それを流し込んだら、店を出た。
無理やりの2軒目。
とりあえずのハシゴは、とりあえず実行はしたので、ホテルに戻る。
何か今日は年を感じてしまいました。
というか、気持ちと体力のギャップ。
ホテルに戻ると、すぐにお風呂に行かなければいけません。
凡の泊まっている和室6畳は、お風呂もトイレも部屋にはなくて共同だ。
しかも、お風呂は23時だったか23時半だったかまでしか使えない。
お風呂は階によって違うかもしれませんが、1畳半ぐらいの広さのステンレスの浴槽があって、洗うスペースが3人分だった。
凡が行くと既に2人が入っていて1人は洗い場に1人は湯船に浸かっていた。
すぐにこの2人は出たので良かったが、このスペースに3人は狭いだろう。
取りあえず体を洗って、湯ぶねに浸かるとぬるかった。
もちろん、熱いお湯を足すこともできるのだけれど、時間を掛けて足し湯をしてと、そこまでゆっくりとしたいお風呂でもなかったので部屋に戻った。
ネットの書き込みではお風呂で他の人とかち合う確率は低いと書かれていたけれど、もし1人ならユニットバスよりも良いかもしれない。
部屋に戻って帰りにコンビニで買ったペットボトルのお茶を飲む。
こんな時には和室はいいですね。
そのままゴロンと横になれるし、布団も沈み込まないから寝苦しくない。
電気を消して、ここは東京なんだなとしみじみとしながら寝た。
(凡の泊まった階はこんな感じ)
さて、翌日は朝食を予約していたので、1階の食堂に行った。
メニューは和食の1種類。
朝食としては必要十分なもので、旅館の朝を満喫している気分で楽しい。
ただ、富山県という名前の付いたホテルであることを考えたら、もう少しお米を美味しいものにした方が富山県の宣伝にもなるのではと思う。
それと、900円という値段も、あと200円ぐらい安い方がリピートしたいと思うのではないかと思う。
ただ、料理はお味噌汁も野菜が入っていたり手作りの温かみの感じるものでした。
朝食を終えて、そのまま近くを散歩する。
高橋是清公園、豊川稲荷を回ってホテルに戻った。
部屋に戻って今日の予定を考えてみる。
復路の飛行機は15時25分だ。
成田発ということを考えると意外にも時間はそれほどない。
逆算すると13時30分には東京を出発したほうがいいだろう。
そこで昨日使ったアイフォンの岡本太郎さんのアプリを起動すると、日本橋に岡本太郎さんがデザインをしたブックカバーを使っている本屋さんがあることが分った。
日本橋にある「タロー書房」さんである。
とりあえずは、ここに行ってみよう。
そう思って地図や路線図を見ていると、あることに気が付いた。
凡の泊まっている赤坂と原宿や渋谷というのは近いんですね。
近いというのはどのぐらいの距離を普通は指すのかは曖昧だが、凡にとっては歩いて移動することが出来る距離だ。
するとまたまたあるものが見えた。
「わーい、見えた見えた。パンツー、丸見えー。」
、、、と、何故ここで、この様なハレンチで低俗な合いの手を入れてしまうのかは不明でありますが、凡は真面目な話は長くはもたないようでございます。
見えたもの、、、
影だ。
いや、影のようなものという方がニュアンスか。
原宿、そして神宮前という地名を見てあるビルを思い出したのであります。
「住友不動産原宿ビル」
そのビルは神宮前にあって、そのビルの4階にあるのがヤマハ・アーチスト・ハーツだ。
ここに「なみふく」がある。
ということは、みゆきさんがこのビルに来ることがあっても不思議ではない。
なみふくだけでなく、このビルの5階にはヤマハミュージックコミュニケーションズという会社も入っていて、みゆきさんはその会社の取締役もしているそうだ。
ということは、来ることが不思議じゃないというよりも、来るでしょうというレベルだ。
というか、このビルにはヤマハ関係の会社が色々入っているので、これは来るに違いないと凡は確信をしたのであります。
昨日の小田急百貨店と渋谷の東急ハンズは、実体のない影のようなものだったけれども、このビルには実体はある。
凡は、アイフォンの地図を頼りに歩き出した。
そして、もう神宮前だろうという所にさしかかった時だ、古い陸橋というか歩道橋のようなところで赤い服にGパンの女の子がピョンピョン跳ねている。
見るとその前にカメラマンがいて、そのピョンピョンを写真に撮っているのだ。
その近くを通って目指すビルに向かう。
向かう途中で気が付いた。
、、、赤い服。
あれ、ひょっとしてみゆきさん?
そう思って振り返ったら、もういなかった。
ひょっとして本当にみゆきさんだったら悔やんでも悔やみきれないじゃない。
ただ、記憶を戻すと、若い女の子だったような気もする。
果たして、どうだったんだか。
もし、本当にみゆきさんだったら、転げまくって悔しがるだろう。
そんな思いでビルまで歩いて行った。
そして、ビル。
住友不動産原宿ビル。
、、、東京ってすごいのね。
、、、住友不動産ってすごいのね。
、、、原宿ってすごいのね。
、、、ビルってすごいのね。
いや、ビルはすごいけれども、すごくないビルもある。
ただ、このビルはとてつもなくスゴイ。
凡は、行く前は5階建てぐらいのビルを想像していたのでありますが、今目の前にあるビルは、とにかくドデカイのであります。
凡は、そのビルを見上げて大きくうな垂れる。
そして、またビルを見上げて大きくうな垂れる。
そして、またビルを見上げて、、、もう忙しいよ。
そんなドデカイビルに、ひっきりなしに人が入って行く。
どれだけの人が働いているのか。
凡は、ひょっとしてみゆきさんに会えるのではとか、ビルの横の喫茶店にみゆきさんがいたりしてとか、そんな期待を抱いていたのでありますが、一瞬にして消えてしまったのであります。
そして、このビルで働いている人がうらやましくて、うらやましくて仕方ない。
それでも、折角来たのですからビルに入る車をチェックしたり、少し離れて4階の窓ガラスを見たりと、確率ゼロパーセントの偶然を必死に探す凡の姿が自分でも見える。
悲しい。
でも、そこは恋に狂った凡ではありますが、同時にクールでシャープな判断の持ち主の凡でありますので、これは無駄だと悟ったのでありました。
仕方がないので、原宿の駅の方に向かってトボトボと歩きだしたのでございます。
それにしても、あの赤い服の女性は誰だったのだろうか。
(なみふくの入っているビル)
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