シアターBRAVA!まで来ると、こんなところに劇場があったんだと思った。
この前は何度も通っているのですが、気が付かなかった。
当日券の窓口は、まだ開いていない。
することもないので窓口の間に立つと、女性が1人だけ待っていた。
しばらくすると、1人2人と集まってきて、それでも6人ぐらいだろうか。
一体当日券は何枚用意されているのだろうかと、またしても考えてしまう。
あるか分らない次回のコンサートのために、知りたかったので係員に聞いてみると、「もう皆さんの分は確保してありますから、心配しないで待っていてください。」と返ってきた。
どうも、詳しい内容は教えてくれないというのが、どこの興業元もそういう方針らしい。
凡の前にいる女性は、連れの人もいないようなので声を掛けた。
「よく当日券でチケットを取られることがあるんですか。」
「いえ、初めてなんです。」
聞いてみると、何でも東京にお住まいで、今朝に東京で電話をしたら当たったので、仕事をさぼって大阪までやってきたという。
さすがに、みゆきさんのファンは、なかなかのものでありますね。
さて、開場近くになって、ようやく当日券の引換が始まった。
列から少し離れた場所に小さなカウンターが用意され、1人ずづ呼ばれる。
行くと予約番号や、クレジット番号などを、本人確認のために詳しく聞かれる。
そのカウンターのリストを、それとなく見ると14行のリストの表があった。
なるほど、ということは当日券は、14名あるいは、14組の14名から28名以内ということになる。
それから言うと、よく当たったものでありますね。
チケットの入っている封筒と開ける。
1階のM列。
ということは、前から13列目。
ということは、今までで1番ステージに近い。
中央を横切る通路から2列目。
会場が小さいので、これはどういう風にみゆきさんが見えるのか楽しみであります。
入場をして、入ってすぐの左側にカウンターがあった。
夜会工場のオリジナルドリンクがあったので飲んでみる。
元祖・今晩屋をイメージした「海」。
グラスに落とされた角砂糖(だと思う)から、小さな真珠の泡がゆらゆらと立ち上る。
海をイメージする青色の発砲性のワインなのだろうかリキュールなのだろうか、その色合いと泡とが乙女チックで中年の凡でも、うっとりと眺めてしまう。
ただ1人で飲んでいるその後ろ姿は、どことなく寂しげではあるかもしれない。
ここでもまた、みゆきさんが考えた訳でもないカクテルを嬉しげに飲んで、ただの1人のファンとなってしまっている。
どうしたものだろうね。
とはいうものの、折角のコンサートなんだから、まあこのぐらいは乗ってもいいというものではある。
ふと横を見ると、40歳ぐらいだろうか、人の良さそうな、優しそうな女性が同じカクテルを飲んでいた。
カクテルなんてものは、やっぱり女性が似合うのかもしれない。
もし、このカクテル「海」だって、みゆきさんがグラスを持っていたらさ、それだけで絵になるというものだろう。
照度を落とした大阪のホテルのバーのカウンターに左ひじをついて顎をのせる。
少し頭を傾げて、正確に言うなら美しい頭蓋骨を傾けて、上目遣いに凡を見上げる。
「あー、少し酔っちゃったかな。」
なんて言う訳。
悪戯っぽい目だけれど、少し酔ったせいで無防備な笑顔に、凡のこころの辛い塊が解けそうだ。
そして、カクテル「海」のグラスの足を右手で子供っぽく握って顔の高さまで上げる。
「凡ちゃんに乾杯。」なんてね。
でも、そこがみゆきさんなんだ。
普通の女性なら、その瞬間は凡を見るだろう。
でも、みゆきさんは違うに違いないのである。
みゆきさんは、カクテルを顔の高さまで上げた時は、あえて凡を見ないよ。
そして、みゆきさんは顔はそのままに左を見るのである。
そうだ、白目だ。
凡の目の前には、みゆきさんの美しい頭蓋骨とみゆきさんの完璧な白目とカクテル「海」の切ないブルーと真珠の泡。
美し過ぎる。
これ以上超えることが出来ないだろう美の最終的な形が存在するという事を、自分の存在で証明できるのはこの世では、みゆきさん1人だけだろう。
凡の敬愛する岡本太郎さんだって、みゆきさんを知っていたなら、みゆきさんの虜になってしまっていただろう。
この凡だって、、、
「ずず、ずずー。」、いや凡はそんな究極な美に対しても、ただ涎を垂らして見つめるのみである。
凡人で愚人な凡には、それぐらいしか出来ることはない。
というか、勝手に涎が垂れてくる。
悲しい無能人間なり。
さて、そろそろ開演時間が近づいてきたので席に着く。
やっぱり今までより近い。
期待に胸を膨らませて席に座っていると、凡の前の席に男性が座った。
山のような巨漢。
それは仕方がない。
体型が大きく生まれたのだから、それはやむを得ない。
でも、さっきの期待がしぼんでいく。
シアターBRAVA!の座席は、前の列と後ろの列は、席半分ずれている。
なので、真正面を見るならば、前の席の2人の肩と肩の間に自分が座る形になるので、普通は見やすい筈である。
でも、凡の席はシアターの中央の塊の1番右端の席だ。
そして巨漢は、半席左にずれている。
なので、ステージのちょうど真ん中、つまりみゆきさんが1番多くの時間を立つだろうステージの真ん中が、前の席の巨漢の男性と1直線になって、まったく見えない。
その巨漢の背中と頭しか見えないのだ。
少なからぬ焦りと落胆に襲われる。
すぐそこにみゆきさんがいるのに、そして歌っているのに見えない。
するとふと福岡のサンパレスの凡の後ろに座った女性2人組の「見えない。」の言葉が思い出された。
回りまわって、凡にその「見えない」の因果が回ってきたのだろうか。
ならばそれは、仕方がないというものだけれど、どうにも悔しい。
コンサートが始まると、前の巨漢はこれまた双眼鏡を持ち出して、両肘を張って見たりし始めたのである。
そして、時々左右に揺れる。
もう、最悪だ。
その前の巨漢に合わせて、凡も左右に体を極端に傾けなければ見えない。
とはいうものの、凡が左右に極端に体を傾ければ、凡の後ろの人も嫌だろうなと思うから、そう極端には体を動かせない。
困りながらも、みゆきさんが目の前にいる喜びを感じていた。
ただ、ステージに向かって右側にみゆきさんが来たときは、まっすぐ目の前に見えるので、これは良かった。
双眼鏡を持って行ったのですが、使うか使わないか迷うぐらいの近い距離。
双眼鏡を使うと、大きくは見えるのだけれど、やっぱりピンポイントでしか見えないし、像が薄っぺらい。
薄っぺらい映像ならテレビでもいい。
肉眼の場合は、ステージ全体が見えるし、そこにみゆきさんがいるんだという一体感というか、臨場感があるので、やっぱり肉眼で見たほうが数段素敵である。
なので、今回の大阪は、双眼鏡はほとんど使わなかった。
ステージのみゆきさんは、やっぱり素敵だった。
何センチあるのだろうか、高いハイヒールを履いてステージを動くみゆきさんは、見とれたしまったのだけれど、コケないかな、つまずかないかなとか、心配になったのは凡だけだろうか。
大阪の公演が、夜会工場の最後の公演地なので、もうこれで見ることができないんだと思うと、まだまだ見たくて、終わって欲しくないという気持ちでいっぱいだけれど、そんな気持ちも虚しくコンサートは終わった。
凡が行ったのは19日の木曜日の公演。
あと21日と22日もあるのだけれど、休めないし、残業だから出待ちだけ参加というのも出来ないし、これが凡にとっては最終日だ。
出待ちでもして帰りましょうか。
(みゆきさんのスタッフのツイッターに載っていた、ブラバのステージから見た客席。みゆきさんからは凡が見えるのだろうか。)
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