平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(225)御馳走ノート。ミックスナッツのジャイアントコーンは、無意味だ。

少し照度を落としたバーのカウンターに右の肘を乗せて、その恰好のまま右手で髪をかき上げる。
かき上げる途中に頭が自然と下に向く。
哲学的な思索にでも耽っているのだろうか。
その表情には、どこか憂いを含んでいる。
、、、。
そう見えるのかもしれないが、凡の場合、何も考えていない。
頭の中は、大概に於いてカラッポだ。
考えているとすれば、ポケットの中の財布の千円札の枚数と、凡が干したグラスの数との、酔っ払ってまともにはできない勘定ぐらいだろう。
ウイスキーのアテといえば、ピーナッツが思いつく人が多いのではないだろうか。
学生時代に友人と飲みに行くといえば、裏寺辺りの安い居酒屋が多かったのだけれど、たまには自分の分をわきまえずに有名なお店に入ることもあった。
寺町通りにある「サンボア」も、その中の1軒だ。
とはいうものの、そんな有名なお店も、当時は学生の凡などが入っても、こころよく迎えてくれるお店が多かった。
そして、ハイボールを飲みながら、食べるのがピーナッツだ。
サンボアのバーカウンターの床には、ピーナッツの皮が、そこにあるのが伝統なんだよという雰囲気で落ちていた。
こんな有名なお店は、中年になった今では、むしろ入りずらいと感じるのは、年を取ってエネルギーが不足して自分に対して否定的になっている証拠なんだろうな。
学生時代に見た映画「風の歌を聴け」は、村上春樹さんの小説を元にしたものですが、普通に学生生活を送っていた凡にとって、羨ましくなるようなスタイリッシュな映像の連続で、その映画の世界に憧れたものです。
昔住んでいた西宮や、神戸などでロケをされたせいか、知っている場所も沢山映っていて、憧れの世界が、現実の世界とリンクして、独特な臨場感だったな。
その映画の中に登場する「ジェイズ・バー」のシーンにも、ピーナッツが登場するのですが、ここでは床いっぱいにピーナッツの殻が、落ち葉のように降り積もっていたのが、何十年も経ったいまでも、印象に残っています。
あのバーは、一体に実在したのだろうか。
さて、サンボアやジェイズ・バーはどうでもいいのです。
ここまで書いてどうでもいいはないのですが、書きたかったのはナッツであります。
ナッツは旨いですよね。
あのクリスピー感と油分が堪らない。
ピーナッツやアーモンドだけを買う時もあるのですが、たまにはミックスナッツというものを買うことがある。
どれを食べようかなと1粒1粒指で摘まんで口に入れるのは楽しい。
とはいうものの、やっぱり好きなのは、アーモンドだ。
その次にピーナッツ。
スパニッシュピーナッツ、ガルバンソーなども、美味しい。
ピスタチオは、スナックなどに行くと高級なナッツと位置づけられているのか、ちょっと高い。つまりは、高級なナッツということだろう。
それに次いで、カシューナッツ、クルミと続く。
さて、ここでミックスナッツを買って残念になることが発生する。
サンドロップという、オカキのようなものが入っている商品がある。
中にレーズンが入っていて、外側がオカキのように焼いたお菓子である。
これはどうみたってナッツじゃない。
ミックスナッツって書いてあるのにです。
これはどう考えたって、量を増やす為のものに違いないのでありまして、どうも食べる時に、損をさせられたような残念な気持ちになってしまうのであります。
とはいうものの、ここは100歩譲ることにしよう。
ナッツ屋さんも経営が大変だろうし、サンドロップが入っている商品は、そんなに多くない。特定の商品に入っているだけだから、どうしても嫌なら違う商品を買えばいいのである。
凡が一番、納得がいかないのが、ジャイアントコーンだ。
これもナッツじゃないのでありまして、ミックスナッツで食べる以外に、食べ方を知らない。
もともと粒の大きなコーンの種類だそうですが、それを油で揚げてあります。
噛んだ食感は、硬いのですが、オカキのようにサクサクとした硬さじゃなく、どことなく湿気ているような、それでいて中々噛み砕けない硬さでありまして、口の中に入れるんだけど、いつまでも無くならず、口の中でもそもそしているのが、どうも我慢ならない。
美味しくないものの欠片を、いつまでも口の中で味わうことになるのは、どうも理不尽だ。
ジャイアントコーンの、食感、味、風味、そのどれをとっても、1パーセントの美味しささえ見出すことは、凡には無理なチャレンジである。
とはいうものの、あれば食べてしまうのでありまして、そんな時は、「ああ、無意味なことを僕は今しているんだなあ。」と思う。
そんなことを考えながら、ジャイアントコーンを残しながら食べていると、ミニボンが言った。
「わたし、ジャイアントコーンが好きやねん。」
腰を抜かしそうになった。

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