平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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そうだ、ソウルへ行こう!(218)アシアナの帰路の機内食でパン2個。

帰路のOZ114は、往路よりも大きな飛行機で、2席4席2席のシート配列で、凡とミニボンは、2席の部分に座ることができた。
往路の飛行機よりも立派な感じで、シートも座りやすいし、テレビモニタもある。
1泊だけど楽しかった。
そんな思いに浸っていると、飛行機は寂しいジェット音を上げながら離陸した。
「もう、終わっちゃったな。ソウルの旅。」
寂しいけれど、仕方がない。
残りの空の旅を楽しまなくちゃ。
水平飛行に入ると、すぐにスチュワーデスさんが機内食のワゴンを前の座席の方に曳いて行った。
往路は朝食だったのでサンドイッチだったけれど、帰路はランチである。
小さな器に入った幕の内のような機内食の可能性もある。
小さいながらも、ケーキなどのデザートも期待できる。
まだかな、まだかな。
そして、配られた機内食。
水とオレンジジュースのパックは、往路と同じだ。
そして、紙のランチボックスに、パンが2個。
「わーい。パンだ。パンだ。」
いくらパンが好きだとはいうものの、ランチタイムの機内食にパン2個は、寂しい。
しかし、国際線の機内食である。
ちょっと贅沢な機内食であるはずである。
ローストビーフのサンドか、アボガドと海老のサンドなんか美味しそうだ。
上下に切り分けられた上のパンを、そっと外してみた。
淡いピンクのペーストは、おそらくサーモンを加工したものだろう。
それに、玉ねぎがスライスして乗っている。
サーモンなんて、ちょっと国際線ぽいのかな。
そしたら、もう1つは肉系だろう。
そっと、上のパンを開けると、、、
同じサーモンのペーストだった。
結構な大きさのパンの中身が、まったく同じ。

画像

「これは、アカンわ。」
ランチにパンは、これは仕方がない。
とはいうものの、同じパンが2個と言うのは、ちょっと機内食を疎かにしていないかい。
少しでも飛行機に乗っている人に、楽しい旅を提供したいって思っているなら、機内食のメニューを考えるミーティングのようなものがあったときに、もっと楽しいアイデアを考えたはずである。
或いは、機内食のミーティングがあったときに、こんな会話があったのかもしれない。
「これからは、経費節減や。機内食はパンでええ。パンや、パン。」
「分かりました。それじゃ、1つはローストビーフで、もう1つは、、」
「何ゆうてんねんや。そんな違うもん挟んでたらロスがでるやろ。ロスが。同じでええ。」
「でも、同じパン2個じゃ、飽きちゃいますよ。折角だから、美味しくてワクワクするような機内食にしたいんです。」
「何を夢みたいなこと言うてんねん。そんなこと言うてるから、いつも嫁さんの尻に敷かれてねん。夢で飯は食われへんぞ。現実見ろよ、現実を。」
「そんなん、嫁さんの尻は関係ないですやん。」
「へへ。お前の嫁さんエエ尻しとるからな、俺も敷かれてみたいな。」
「せやから、嫁さんの尻は関係ないっちゅうてますねん。」
「兎に角や、これは上司命令や。パンは同じ具のやつ2個でええ。」
「、、、、、。」
すまじきものは宮仕えかな。
そんな機内食担当の苦労もあるかもしれないが、この機内食は、もう少し考えてほしいものであります。
こんなことでは、安い航空会社に負ける時が来ると思う。
2つのパンの具が同じであることを確認した凡は、静かに2つのパンの蓋を閉めた。
とはいうものの、機内食が出るという事だけで、本当は喜ばなくちゃね。
そして、ほとんどの座席に機内食を配り終わろうとしていたのですが、凡はまだ2つのパンには手を付けなかった。
そう、ビールであります。
国際線なんだから、ビールを飲みたい。
そして、帰路なんだから。
しかし、見ているとビールを配ろうとする気配がない。
もう既に、コーヒーのサーブも始まっているじゃないですか。
どうも、ビールのサーブは無いようだ。
それにしても、アシアナは、ビールを配ることが嫌なのだろうか。
以前に行った、アシアナのビジネスクラスでもビールのサーブはなかった。
しかも、ウエルカム・水。

どういう理由なんだろうね。
経費節減か、酔っ払いの対応が面倒くさいからか、厳格なプロテスタントが社長なのか。
何にせよ、最後の旅の締めくくりに、機内で乾杯といきたいものである。
思い切ってスチュワーデスさんに声を掛けた。
「あの、ビール頂けますか。」
すると、しばらくして綺麗なお姉さんが、ビールを持って来てくれて、「どうぞ、楽しい時間をお過ごしください。」と言った。
エコノミーでビールを頼んだのは、凡以外に3人ぐらいだっただろうか、この楽しい旅をお過ごしくださいという言葉が、何故か凡を卑屈にさせる。
「ゴメンナサイ。ビールを頼んで。」なんてね。
ビールを貰って横を見ると、ミニボンが「ビール貰えて良かったね。」と言った。
少し救われて言った。
「うん。」
そんな機内食も楽しんで。
まもなく関空に着陸した。
帰りは、JRの往復切符を買っていたので、窓口で席の指定をして特急はるかに乗って、天王寺まで行き、環状線、京阪電車と乗り継いで自宅のある門真市まで帰ってきた。
帰りの飛行機が14時10分で早いかなと思ったのですが、意外にもこの時間帯で良かったかもしれない。
ゆっくりと旅の楽しかったことを思い出しながら、畳の上にゴロンと横になって、両手を上げて大きな伸びを1つした。

コメント

  1. たびすけ より:

    う~ん、機内食は微妙ですね・・・
    出ないよりマシですが、もう少しワクワクするのが良いですよね
    アシアナの機内食って良いのが出るって聞いていたんですが、最近は経費節約?あるいは近いからですかね???
    LCCに負ける日も近いのでは?とありますが、少々高くとも良いサービスを期待する人も多いと思うので、この辺はキッチリしてほしいところですよね・・・

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、たびすけさん。
    機内食は、たぶん近いからでしょうけど、たとえ近いからと言っても、だんだんと、しょぼくなっていますよね。
    随分と前ですが、同じソウルでもちゃんとした機内食がでました。
    弁当の時もありましたが、それでもパン2個よりは、楽しかったなあ。
    とはいうものの、旅行に行けるだけで、幸せと言うものではあります。

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