平 凡蔵。の 創作劇場

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そうだ、ソウルへ行こう!(214)明洞の夜。ドーン808。

夜更けのソウル明洞は、昼間の若者の喧騒も静まり、肌に触れる空気に寂しい湿気を含む。
隣のベッドでは、昼間の街歩きに疲れたのか、ミニボンが小さな寝息を立てて寝ている。
凡は1人で、名残惜しい最初で最後の夜に、人影の少なくなった深夜の明洞へ出かけた。
狭い路地の入口に、時代を感じるバーがあった。
「バー・どん底」
蝶つがいがきしむ音のするドアを開けて、カウンターに座る。
馬のシッポの毛をクッションに使った丸い椅子は、東京の山の上ホテルを訪れたマスターが真似をして注文したそうだ。
1つ席を置いて右側に、色白のサラサラロングヘアーの女性が座っていた。
華奢なボディに、白のニットのワンピース。
余程、自信があるのだろうね。
「ソウルに住んでいるの?」
凡は、彼女に声を掛ける。
普段は、そんなことはしないのであるが、ソウルの湿った空気が、凡にそんな行動をさせたのかもしれない。
彼女は、悪戯っぽい上目使いで笑いながら、
「あたなが、入って来たときから、声を掛けられるって感じていたわ。」と言った。
「これって、私の方が誘惑されてるわけなの?」
凡は、少し嬉しくなった。
彼女は、意味ありげな口元で、凡から目を背けて正面を向く。
それ以来、彼女は正面を向いたまま、黙っている。
何か気に入らない事を言ったのだろうか。
気になるのではあるが、それ以上話をすることが出来ず、バーボンのロックを続けざまに飲んだ。
気が付くと、隣のサラサラロングヘアーの女性は消えていた。
見ると馬の毛の椅子がぐっしょりと濡れている。
ソウルの幽霊?
まあ、それもいいか。
それにしても、少し飲みすぎたようだ。
「オエー。」
、、、、ムニャ、ムニャ、ムニャ。
目が覚めたのは、イビス・アンバサダー・明洞の白いベッドの上。
どうも、ソウルのホテルで夢をみていたようです。
それにしても、「オエー。」
今、目が覚めて感じている、軽い吐き気は夢ではないようでありまして、これは焼肉屋で飲んだ焼酎のせいであるに違いありません。
ただ、「オエー。」とはいうものの、軽い吐き気であります。
そうだ、このために今日1日、ソウルの街の薬局で二日酔いの薬を買ったんじゃないですか。
ここはひとつ試さない理由は見つかりません。
でも、どれを飲むかが問題です。
いくつも種類があるからね。
でも、今日は軽い吐き気でありますから、ばら売りの錠剤などの効き目のありそうなものは止めておこう。
それは、本当の二日酔いに使うべきだ。
といことで、「ドーン808」を飲むことに決定。

画像

これは、コンビニでも売っているので、薬の中でも、やや効果の薄いものだろう。
プルトップを開けて、一口飲み下すと、漢方系の薬草を煮詰めて、水で割ったような味と匂いだ。
日本の二日酔いの薬のように、強い薬草の味ではなくて、薄い薬草の味と匂いがする。
成分は、ハンノキというアルコール濃度を薄くする木と、ナナカマド、カンゾウ、ヒョウタン、ハチミツだそうです。
まあ、普通の清涼飲料水ではなく、確かに二日酔いの薬のようです。
さて、飲み干した後は、再度ベッドで横になっていた。
15分経過。
30分経過。
どうも、変化がない。
相変わらず軽い吐き気がする。
あれだけ期待した二日酔いの薬が、こんな軽い吐き気にも効果が無いなんて、少なからずショックだ。
あるいは、飲み方を間違えたのか。
ひょっとすると、飲みに行くぞという前に飲むのが良いのかもしれない。
若しくは寝る前に飲むべきだったか。
まあ、でも今回は軽い吐き気だったので、そのまま再度ベッドに横たわった。
さて、さっきのサラサラロングヘアーのお姉さんを、もう一度探しに行かなくちゃね。

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