平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

創作劇場は、ここをクリックしてください。⇒⇒⇒

散散歩歩。(171)オムライス。(御馳走ノート)

何故か急に食べたくなるもの。
とはいうものの、いざ食べようと思っても中々食べさせるお店を見つけることが出来なくて、結局食べずに欲求不満で終わってしまうもの。
オムライス。
日本中のどこの学生街の喫茶店にも、必ずそのお店の人気メニューとして存在する。
なのですが、凡が勤めている難波という繁華街の近くには意外と少ないのであります。
とはいうものの、少ないのであって、あることはある。
しかも、オムライスの専門店というちょっとお洒落なお店の形態でね。
なのですが、そういうお店は若い女の子御用達のお店であることが多く、凡のような中年の男性が1人で入るのにはちょっと勇気がいる。
「あのね、凡はオムライスが食べたくて、このお店に入ったんですよ。そんな、若い女の子が目当てで入ったんじゃなんですよ。一応ね、一応念のために断っておきますがね。」なんてことを口には出さないけれど、若い女の子なんて関心ないよなんて態度でワザと振る舞わなきゃいけない気がして、どうも疲れるのであります。
それに、この若い世代をターゲットにしてオムライスの専門店というのが、また要らないことをするのであります。
オムライスにハンバーグを乗っけたり、エビフライを乗っけたりと、何かを乗っけるのが大好きなお店が多い。
オムライスというものは、ハムや鶏肉を玉ねぎと炒めて、そこにご飯を加えてケチャップをたっぷり入れて更に炒めた物を、薄く焼いた玉子で巻いたものであります。
それでいい。
ただ、それだけでいいのであります。
余計なことはしなくていい。
白いお皿に形よく乗っけられたオムライスの真ん中あたりにトロッとケチャップを帯状に掛けた姿は、大人でも、子供でも嬉しくなるものです。
凡は、これを食するときは、まずケチャップをスプーンの腹を使って、オムライスの背中全体に伸ばす。
そして、ややはしたない食べ方ではあるが、スプーンを縦に持って、オムライスの背中を4カ所ほど縦に突き刺し、その平行した溝に直角にウスターソースを1往復させるのです。
そうすると、その溝からソースが中のケチャップライスに浸み込んで、ちょっと嬉しいアクセントになるという仕掛けである。
そして、先日、凡は急にオムライスが食べたくなった。
大阪の難波の近くにあるオムライスを提供するお店を考えたが、急には出てこなかった。
ないとなると食べたくなるのがB型であります。
そしてどうにか思いついたのが、少し歩くけれど、老舗の洋食屋さんだ。
ランチのセットなどは昔から同じメニューで提供されていて、また内装を見てもテーブル席とカウンター席の、やや年代を感じる風合いが、いかにも老舗の洋食屋という感じである。
これは昔からのオムライスが食べれそうである。
料理が運ばれてくる間、カウンターから調理の様子を見ていると、お持ち帰り用のカツサンドを作っていて、これもまた美味しそうです。
これは期待できそうだ。
少し歩いて来た甲斐があったというものであります。
うきうきした気分で待っていると、恋しいオムライスが凡の目の前に給仕された。
「しもた!」
その運ばれたオムライスを見て、心の中で叫んでしまった。
とはいうものの、食べて見たら納得がいくのかもしれないと思って、スプーンで中のケチャップライスと表面の玉子を掬って口に入れる。
「やっぱりや。やっぱり違う。」
確かに老舗のオムライスであって、美味しいといえるのかもしれない。
そのケチャップライスは、バターを利かせケチャップは控えめにして、やや薄い味のチキンライスに仕上げてあり、薄く焼いた玉子はいいのであるが、ご丁寧にその上にドミグラスソースを掛けてあるのだ。
「何やねん。こんな上品なオムライスは、オムライスちゃうねん。」
悲しさで上を向いて目を瞑ったときに気が付いた。
オムライスが無性に食べたくなる時がある。
そんな時は、ケチャップ味が食べたいということなのかもしれない。
だから、高級なオムライスでは欲求不満になるのである。
オムライスが食べたい。イコール、ケチャップ味が食べたい。
これは、凡以外の人もそうなのでしょうか。
上等の優しい味のオムライスを掻き込んで洋食屋を飛び出て叫んだ。
「もう、白ご飯にケチャップをダーって掛けたのでいいからケチャップ味を食べたーい!」

コメント

  1. たびすけ より:

    オムライスですか?
    う~ん久しく食べていませんが、オムライス食べたくなっちゃいますね!
    自分もシンプルなオムライスが好きです
    なかなか食べるチャンスが無いので、今夜の夢の中で食べる事としましょうかね・・・

  2. oriver より:

    ふわふわのとろとろのオムライスが食べたいときは外食だけど、家で作るケチャップのオムライスが好きです♪かけ過ぎてしょっぱくなっちゃたり、それがオムライスですよね~。
    あぁ~私も食べたくなっちゃた!(^^)!

  3. 凡蔵。 より:

    ありがとう、たびすけさん。
    そうなんですよね。
    食べたいと思っても、食べる機会が少ないんですよね。
    意外と住宅街の普通の喫茶店の方が、オムライスがありそうです。
    それにしても、
    たびすけさんは、ニュージーランドですか。
    これは、うらやましいです。
    記事を拝読させていただいて、私もニュージーランドに行った気分にさせていただきます。

  4. 凡蔵。 より:

    ありがとう、oriverさん。
    そういえば、オムライスは家庭で作ったのが一番美味しいかもしれませんね。
    高級なお店のオムライスより、絶対家庭で作ったオムライスが食べたい。
    あ、またオムライスが食べたくなってきました。

タイトルとURLをコピーしました