疲れている。
日々の生活に、疲れている。
凡が家に帰ると、玄関のドアを開けるなり、ミニボンが聞いた。
「疲れてる?」
「うん、疲れてるよ。」
「ヘトヘトに疲れてる?」
いつもミニボンには、何を言ってもいい加減な返事しかしないなんて言われているのだけれど、凡は心の中では意外と正直に、そして正確に答えようとしているつもりなのであります。
それがために、正確に答えなくてはという思いから、いい加減な返事になってしまうのです。
疲れているかと尋ねられれば、確かに疲れている。
なので、疲れていると返事をすることが可能だ。
しかし、ヘトヘトに疲れているかと聞かれれば、少し考えてしまう。
凡はたまに、ひどく疲れて帰ることがある。
そんな時は、着ている服を脱ぐやいなや、「ちょっと15分だけ横にならせて。」と言って畳の上にゴロンと寝転がる。
起きているのもツライという時だ。
そんな時は、ヘトヘトに疲れていると言えるだろう。
そんな時に「ヘトヘトに疲れてる?」と問われれば、「うん、ヘトヘトや。」と素直に答えるだろう。
しかし今、自分の体をよくよく考えてみるに、いつもよりはかなり疲れているのは間違いないのだけれど、今すぐ横になりたいという状態までは至っていないと判断するのが正確だと思った。
なので、「疲れてるけど、ヘトヘトまではいかないかな。」と答えた。
するとミニボンが言った。
「あ、そう。ほな、いいわ。」
そんな理不尽な。
聞くだけ聞いといて、ほないいわって、どうなん。
「ちょっと待って、何やの。ほないいわって。」
何でも今日パートの帰りに近くの薬屋に寄ったそうです。
その個人でやってられる小さな薬屋のガラス戸に「ヘトヘトに疲れたときに」という手書きのポスターが貼ってあって、前から気になっていたそうです。
それで、今日思い切って店内に入ってみたそうです。
そこでご主人に話を聞いて、ヘトヘトに疲れた時に効くという薬をかったというのです。
それやったら、そうと言ってくれ。
凡はそんな変わった薬が大好きであります。
「何か急に疲れて来たわ。うん、ヘトヘトや。そやから、薬飲んでいいかな。」
薬を飲みたいが為に、急に低姿勢になる。
「何か疲れて来たし、あかん、しんどいわ。」
凡も薬を飲むために必死である。
疲れる。
疲れた時に飲む薬を飲むために、疲れるというのは、どうなんだ。
とはいうものの、結果的に疲れたのだから、疲れた時に飲む薬を飲んでも、その資格はあるというものだろう。
ミニボンが買ってくれた薬。
「牛黄」(ゴオウ)
これは牛の胆石で、高級な漢方薬だそうです。
恭しく金の紙で包まれている。
この薬の包みは懐かしいですよね。
昔は町のお医者さんでも、そこで乳鉢で調合した薬を、こんな包みにしてくれた。
中を開けると、ほんの耳かきで取ったぐらいの少量の茶色い粉末がオブラートに包まれて入っている。
1包450円。
しかし、オブラートとは。
まさか薬屋のおっちゃんが、オブラートに包んで、その端をぺろぺろってことはないだろうな。
凡はこういうところが、気になって仕方がない。
ぺろぺろがサラサラロングヘアーのお姉さんであると無理やり思い込んで、飲んだ。
薬屋のおっちゃんによると、心停止したときでも、4包飲むと蘇生するそうだ。
日本の薬屋も漢方薬を売る時は、白髪三千丈となるのだろうか。
「麦味参顆粒」の時もそうだけれど、ミニボンの気持ちに感謝。
肉体的な疲れは、これで大丈夫だろう。
後は、精神的な疲れを癒すために温泉でも行こう。
22日からの旅行は、伊勢志摩に決めた。
距離的にも近いし、それであって旅行気分も味わえる。
旅行会社のパンフレットを1ページ1ページめくりながら、プランを考えよう。
そして、ミニボンに言った。
「牛黄、明日4包買っといて。」
これで、心停止も心配いらないのであります。
牛黄の説明書き
コメント
ミニボンさん、ちゃんと凡蔵。さんを見ていてくれて優しい奥様ですね。
「ほないいわ」もさすがの手綱さばき。
伊勢志摩を楽しんで来て下さい。
しばらく姿を見なかったので、どうしてるのかな~って思ってました。薬を飲んで、体力回復してね。
ありがとう、oriverさん。
日中に、あ、こんなことブログに書こうかな、なんて思うんですが、家に帰ると、ヘトヘトではないのですが、へとってなって、次の日の朝を迎えるということの繰り返しで、更新が遅れていました。
また、少し元気回復で書いていこうと思いますので、よろしければ、お付き合いくださいね。
牛黄は、疲れがひどいときほど、効くそうです。
2包飲んだら、どうなるのかなって気になって仕方がありません。