平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(95)困ったときの京都。幽霊子育飴。

ポパイさんのレモンチャーハンを食べて、身も心も満足してお店を出たのですが、さあ、これから何処へ行こうかということであります。
今日の目的はレモンチャーハンだったので、もう目的を達してしまいました。
雨が降っているので、このままアーケードのある四条方面に戻ろうかなと思ったのですが、折角、宮川町まで来たので、このまま少しブラブラ歩いてみることにする。
折り畳みの傘を差して、バッグが濡れないように肩に掛けて山の方に向かって歩く。
凡は傘が苦手だ。
折り畳みの傘の下に濡れないように身を屈めて小さくなりながら歩くのですが、何故か濡れてびちょびちょになる。
ふと見ると、気になる看板が目に入った。
「幽霊子育飴」
誰が見てもビックリするような名前ですよね。
凡も気になってお店の前の説明書きを読みました。
昔、夜中に飴屋に一人の青い顔をして髪の毛を垂らした女の人が「飴をください。」と一文銭を出して飴を買いに来たそうです。
そして、それが6日間続きました。
不審に思って飴屋の主人が後をつけていくと、お墓の中から赤ちゃんの泣き声が聞こえます。掘り起こしてみると身重のまま死んだ女が、生きている子供を抱いていたのです。
女は三途の川の渡し賃を、死んだ後にお墓の中で生まれた子供に飴を与えるために使って、飴を買いに夜な夜な
飴屋に出かけていたという説明が書いてあります。
この話は、全国的に話継がれているようですが、実際にその飴を売っているのは、ここ「みなとや」さんぐらいではな
いだろうか。
この話は、ゲゲゲの鬼太郎(墓場の鬼太郎)の、元になったとも言われています。
これはちょっとお店を覗いてみたくなりました。
入るとすぐに飴を置いたケースがあり、ただそれだけです。
店内では中年のご婦人がすでにお店で買い物をされ、お店の人と話をしています。
「雨宿りしていったら良いよ。」と気さく声を掛けてくれました。
偶然のそれも話の種なので、幽霊子育飴を購入。
子育飴(大)500円

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それからも、雨なのに飴を買いに来た人がお店に入ってきます。
結構、売れているんですね。
飴は、昔の鼈甲飴のような、素朴な味でした。
それにしても、面白い話ですね。
母親の子供を思うこころが伝わってきて、これからも話継がれて欲しい話です。
幽霊だから怖いというよりも、切ないお話ですよね。
それにしても、この幽霊。
霊感の無い凡は、まだ幽霊なるものを見たことがありません。
でも、幽霊って、昔の絵で見ると髪の毛をバサッと半分前に垂らして、うつむき加減に柳の下に立っているというイメージです。
幽霊だって、色々いるでしょう。
これが美人だったら、ちょっと会ってみたい気もします。
想像してみたら、髪の毛をバサッとというのも、今でいうサラサラロングヘアーということではないですか。
うつむき加減も、控えめでいい。
青白い顔も、色白美人と解釈できる。
華奢なサラサラロングヘアーの美人って、凡の好みだ。
考えてみるとだんだん会いたくなる。
「恨めしやー。」
「あ、どうも。」
「恨めしやー。」
「恨めしやーて、多分やで、多分おたくは死んではるよ。そんな、死んでまで恨めしいゆうてたら、しんどいやろ。」
「恨めしやー。そんなんゆうたかて、昔から幽霊ってこうゆうもんやし。もう、ほっといてくれへんかな。一人機嫌よう恨めしやーってゆうてんねんから。」
「そうなんや、わりと機嫌よう恨めしやーってゆうてんねんや。」
「そやけど、本当?うちやっぱり死んでんの?やっぱりうち死んでたんや。半信半疑やったけど。やっぱり、、。いやーん。死んでるって、うち怖い。」
「いや、怖いのはこっちやん。もう、この世の事は諦めて凡とビールでも飲みに行こうよ。」
「そうやなあ。最近何となく寂しかったから、ちょっと気晴らしでも行きたいわ。」
都会の少し奥まったところにある昔からのバーのカウンター。
美人の幽霊には、こんなバーが似合う。
女はサラサラロングヘアーをかき上げながら、凡をいたずらっぽい目で下から見上げた。
白だんの香りと白い煙が凡の鼻腔をくすぐる。
女は、凡の飲んだマティーニの楊枝を、クロスにしていった。
「きゃー。十字架やん。うち怖いー。」
「十字架が怖いって、あんた洋風の幽霊かいな。」
「いやん。ジョークやん、ジョーク。あははは。でも、うち100年ぶりに笑ったわ。」
「そんな前から恨めしやーっていうてたんや。」
凡は急に女が愛おしくなって、細い肩をギュッと抱きしめた。
氷のように冷たい女の肌に、100年間愛情を受け付けなかった悲しさを感じる。
凡は流れ出る涙をハンカチでぬぐった。
そして横を見ると女は消えていた。
そして、今まで座っていたカウンターの椅子は、冷たい雨で濡れていたのであります。
そんな展開があるかもしれない。
もし美人の幽霊がいるのなら、どうぞ凡に声を掛けてくださいませ。
幽霊子育飴を買って、外へ出たのですが、まだ雨は止みそうにありません。

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コメント

  1. とっちゃん より:

    身重の女性が亡くなり、それでも赤子を抱いていたなんて、なんだか切ない話ですね・・・
    しかも三途の川の渡し賃を、子供の為の飴を買うために・・・なんて、母の愛情を感じますね
    一見怖い話しのようですが、現代社会への教訓でもあるかのようですね・・・

  2. oriver より:

    子育て飴となったのには、そんなお話しがあってんですね。現代では自分の命と引き換えに出来ますか?という問いに「出来ない」と答える親が多いというアンケート調査があります・・・。
    なのにィ~サラサラのロングヘアーの幽霊って、かなりツボでしたぁ!マジで爆笑してしまいました。でも、凡蔵。さんのお誘いで100年ぶりに笑顔になったのなら、喜ぶね♪

  3. 凡蔵。 より:

    ありがとう、とっちゃん。
    最近、テレビや新聞で、子供を虐待する話がよく出てきますが、どうもやりきれないですよね。
    そんな育て方をされたら、どんな大人に育つのだろう。
    でも、この幽霊の話は、母親の子供を思う気持ちがすごく表れて、切なくなります。
    話によると、この子供は偉いお坊さんになったそうです。

  4. 凡蔵。 より:

    ありがとう、oriverさん。
    私には子供がいないので、もしいたら自分の命と引き換えにできるのだろうか。
    そんな度胸なんて無い気もします。
    子供を育てるって大変ですよね。
    でも、oriverさんちは、お子さんも優しそうで、ブログを拝見していても、うらやましいですよ。
    きっと愛情をいっぱい感じて育ったんだと思います。
    幽霊は美人だったら、怖くない気もするのですが、まだ見たことがないので、実際に見ると腰を抜かすかもしれません。

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