伊丹空港は昔は国際線が発着する空港だったが、今は関空が出来て国内線専用となっている。
到着してバッグを受け取りゲートの外に出るが、人の行き来が少ないせいか、昔日の賑わいを知っているものにとっては寂しい感じを受けてしまう。
アジア限定でもいいので、国際線を復活してはどうだろうと思う。
空港のゲートを出ると売店があって、ふと見ると「パルナスのピロシキ」を発見。
パルナスというのは、中年の関西人にとって、誰でも知っているすごく懐かしい洋菓子のチェーン店なんです。
「♪ぐっと噛みしめてごらん♪」
どことなく寂しいロシア調のメロディに乗せた、切り絵のような異国情緒たっぷりの映像のテレビCMは、子供のこころの奥深く刻まれるインパクトのあるものでした。
洋菓子も他のお店より少し安めで、学生時代に駅の近くのお店でよく買って食べた記憶があります。
そのパルナスでは、洋菓子の他に名物があります。
「パルナスのピロシキ」です。
日本人向けに味付けされたピロシキは、総菜パンより少し本格的な庶民の食べ物でした。
そんなパルナスも10年近く前に廃業されました。
でも、その調理法を受け継いだ喫茶店が尼崎にあります。
凡もその存在は知っていたのですが、行ったことはありませんでした。
そして、そのパルナスのピロシキが、今伊丹空港の売店で売られていました。
これは根強いパルナスファンが存在しているという証拠でしょう。
それだけあのテレビCMが今でも、あの当時子供だった、今は中年のこころの奥深くに刻まれているということなんだと思う。
まれに見るCMの秀作です。
この感覚は関西の人しか解らないと思いますが。
なので中年の凡も思わず購入。
しかし、パルナスという商標は事情により使えないので、製法を引き継いだ喫茶店の名前がついています。
「モンパルナスのピロシキ」
これはどうもいけません。
どうも気持ちが悪い。
ピロシキって言ったら、ロシアですやん。
モンパルナスって言ったらフランスやん。
そうしたら、どうなの。
フランスの喫茶店で、ロシアのピロシキ。
いや、この場合、名前だけで見るならば、フランスのピロシキとなるのでありまして、これはどうも奇妙な具合で、後頭部を掻きながら、うーんと唸ってしまう。
とはいうものの、ピロシキの製法を受け継いだ喫茶店の名前がモンパルナスなんだから仕方がありません。
家に帰って、ピロシキをかじると、じわっと油が染み出て美味しい。
中の具も少し中華風なのか誰でも好きな味に仕上がっている。
ピロシキはこうでなければいけません。
噛んだ瞬間、油をじわっと感じないと美味しくない。
最近、油を使わない料理というものを本やテレビで見かけることがあるが、ナンセンス極まりない。
もし、人類に油と言うものが無かったら、「美味しい」という言葉は存在しなかっただろう。
「ねえ、あなた今日のシチューどう?」
「うん、不味くはない。」
「良かった。でも、本当に気に入った?」
「いや、本当に不味くはないよ。すごく不味くはない。」
今よりずっと夫婦げんかの多い世の中になっていただろう。
油は、塩、砂糖、酢など、調味料と組み合わされた瞬間、その調味料の持つ力を最大限に発揮させる能力を持つ。
もし、塩や砂糖だけの味付けだったら、きっと頼りない料理になるのではないだろうか。
そんな重要な油なのでありますが、最近では、油抜きの料理がもてはやされている。
そんなものが美味しいですか?
最近のヒット商品に「焼きドーナツ」というものがある。
ドーナツという昔からの美味しいお菓子を、わざわざ美味しくなく仕上げて、どうするのよ。
その内、油で揚げない天ぷらや、油で揚げないトンカツなんてものが出てくるかもしれない。
出てくるかもしれないというか、もうフライに関しては、油で揚げないフライなるものが存在するのでありまして。
そんなことをするなら、トンカツの豚だって油が含まれているのでありますから、その内、豚肉の入っていない油で揚げていないトンカツなんてものが出てくるかもしれません。
果たしてそれは、トンなのかカツなのか、どっちでもないトンカツということになってしまうだろう。
そして、果たしてそれが健康に良いのでありましょうか。
油で揚げたピロシキを味わい、そして、未来のピロシキを案じながら、凡の贅沢旅行は終わったのでありました。
コメント
凡蔵さん全くその通りです!
油の使っていないトンカツなんてナンセンスですよね~
肉だって魚だってほどよい脂が含まれているから美味しいんですよね~
油(脂)バンザイ
ありがとう、とっちゃん。
そういえば、魚の脂も美味しいですよね。
脂ののった魚は、ご飯にもピッタリですよね。
秋は魚が美味しい季節ですよね。